2017-07

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読書離れ

ニューヨークでは朝6時半から放映されているNHKのクローズアップ現代で、若者の読書離れを取り上げていた。

スマホ等により、インターネットから手軽に多くの情報を得られるようになり、それに依存するあまり、読書をあまりしなくなっている、ということだ。大学生が論文などを書く際にも、その大部分がウェブサイトからのコピペで、自分の意見は、ごくわずかで内容も極めて稚拙、という事例を、実際に、ある大学教授に提出された論文を使って紹介していた。確かにひどい論文だった。一方で、数々の学術書に当たって論文を仕上げた学生が、良い例として取り上げられていた。読書をする中で、論文の骨子にするにふさわしい重要な論点を見つけ、それについて自分なりに考察を深めて、新しい視点を盛り込んだ論文を書けた、という事例だった。

そのあと、もう一つ脳科学者への取材(この部分は、横目で見ていただけなので、詳細は覚えていないが、読書は脳の視覚野も刺激する、というような内容だったようだ。)のあと、ゲストの登場だ。今日のゲストは、立花隆。俄然、期待が高まる。国谷裕子の最初の質問は、「立花さんが今、大学生だったら、どんなふうにして論文を書きますか?」うーん、さすが国谷さん、うまい質問。ところが立花氏、一瞬考えたあと、「スマホでのネット検索を大いに活用しているでしょう。インターネット上の情報は、あのアレキサンドリア図書館に、誰もが居ながらにしてアクセスできるようなものだ。利用しないほうがもったいないし、どうやって有効活用するかは、使う人の工夫次第だ。」という趣旨の回答をするではないか。インターネット普及を読書離れの元凶にしたかったNHKの目論見を見透かしたかのように、多様な人々が生きるネット社会礼賛の方向へ議論をもって行った。立花さんの確信犯的な発言とみた。ますます面白くなってきたのだが、生放送のこの番組の放映時間もあと10分ほどしか残っていない。国谷さん、この窮地をいかに凌ぐのか?ここで起死回生の質問を繰り出した。「ところで、立花さんはご自分の学生時代には、どのようにして勉強しましたか?」と、話をネットの無かった時代に戻したのだ。それに対する立花さんの答えは、もちろん「本を読むことが中心でしたね。」これで議論は、再び、今日のテーマ「読書」に見事に回帰した。その後は、立花さんから「本は論文を書くというような「知」の領域での価値があるだけでなく、感情を動かしてくれる「情」や人間の意思「意」について学ぶ機会を与えてくれる、まさに総合的なメディアだ」というような、読書の価値を伝えたかったNHKには何とも「美味しい」発言も出た。(これも氏の、さっきとは逆の方向での、番組をまとめるための確信犯的発言だったと思う。)

出勤前の慌ただしい時間帯ではあったが、今日は朝から、短時間ながら見応えのある議論の場に接することができたことに感謝。

ところで、今日のテーマだった「若者の読書離れ」そのものについてだが、インターネット普及によって、僕はむしろ若者の読書量は増えているのではないか、と思っている。出版業界の売上高は確かに減少しているのだろうが、もしインターネットが普及していなければ、もっと減っていたかもしれない。むしろ、ブログやSNSなど、書く機会が増えたことで、ウェブサイト閲覧を含む「読む」機会そのものは増えているはずだ。読むことがより日常化した社会では、本への需要が増えてもよいはずだ。出版業界の不振は、むしろ、供給側である出版業界が良い本を出版していないからではないだろうか?もちろんこれは憶測に過ぎないが、今後、本について考える時の仮説の一つとして、日頃から気に留めておこうと思う。
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内之助

Author:内之助
マラソンは、2008年12月のホノルル・マラソンをもって、全米全州(50州+DC)でフル・マラソンを夫婦で完走。今は、トレイルでのウルトラ・マラソンを楽しんでいる。
音楽は、中学校1年生の時に、FMで偶然耳にしたモーツァルトの喜遊曲がきっかけでクラシックにのめり込む。
読書は、ノンフィクション中心に、同じ著者のものをまとめて読む傾向あり。小林秀雄、吉田秀和、カール・ヒルティ、スティーヴン・ジェイ・グールド、内田樹、茂木健一郎など。
仕事はサラリーマン。1995年以来ニューヨーク市郊外在住。

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