2017-11

働き方

日本のテレビドラマ『派遣の品格』の一場面で、中堅社員が同僚に「俺たちが入社したころは良かった。会社が一つの家族のような雰囲気があった」と、しみじみと昔を懐かしむシーンがあった。1989年のバブル崩壊後の長期に及んだ不況の結果、日本の会社は、終身雇用制と年功序列賃金によって給与が高水準に達したベテラン社員たちをリストラすることによって、手っ取り早い経費削減を推し進めた。そして、その穴埋めとして、安価で解雇しやすい派遣社員を使う、という動きが拡大しており、そのような傾向を嘆いてのつぶやきだ。
高度経済成長期以来、日本では、会社は、仕事をする場所というだけではなく、上司・同僚・部下を含めた職場仲間との、仕事とも個人的ともいえないような、様々な微妙な人間関係を育んでいかなければならない場所でもある。そのような人間関係を基にして仕事を進めていくことが、日本の会社では求められる。終身雇用制が定着していたころには、会社での人間関係が入社から定年退社まで長期間続くことから、社内での人間関係に常に気を配っておかないと、いつどこで思いがけない摩擦や問題が生じて仕事や自分の出世に支障が生じるわからない。社内での良好な人間関係を維持することが重要視され、その行き着くところは、一つの家族のような組織だ。そこでは、社員相互の人間関係が重視されるあまり、長時間勤務に加えて、夜の飲み会や休日のゴルフなど、職場関係のつきあいは長時間に及び、夫が家庭をがないがしろにした結果、妻の不倫・ノイローゼ、子供の非行・登校拒否などが、高度成長期以降の日本の社会問題となっている。当然、このような働き方への批判が生まれ、「欧米流」のもっとドライで割り切った会社との関係、仕事の仕方が流行してきた。会社が終身雇用をなくそうとしてきたのと同時に、従業員のほうからも、会社との距離を置こうとし始めたのだ。
戦後、終身雇用制は、経済規模の拡大に伴う企業の雇用能力増大=ポストの増加によって維持されてきた。そして団塊の世代が管理職クラスになったときにバブルが崩壊、不況に突入し、会社組織の縮小、ポストの減少、中高年のリストラが広まった結果、終身雇用制が崩れ始めたと言われる。
しかし、運良く会社に残れた団塊の世代もそろそろ定年退職を迎え始め、今後は一転少子化の時代で、社員数は減り、ポストは余ってくる。希少な社員を少しでも長く確保したいという会社側の意向から終身雇用制を復活させようとする動きも出てくるだろう。働く側からしても、解雇を心配せずに働ける環境は、長期的な視点に立った良質の仕事をする上で望ましいはずだ。その結果、社内での人間関係を重視する風潮もまたある程度復活するだろう。そのような中で、再びかつてのような、家庭を顧みないような働き方しかできないサラリーマンにならないように、自分なりに納得のいく、そして会社側からも受け入れられるような働き方をしっかりと身に付けておかなければならない。そのような働き方は、かならずしも、ドライ一辺倒なものでもなく、会社べったりといったものでもないはずだ。僕自身、今もなお、「ちょうど良い働き方」を模索する毎日だ。
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コメント

正社員

シャカリキさん、
 コメントありがとうございました。
 自分の専門性を生かしてその道のプロとして仕事をする専門職(派遣社員も含めて)と、そのような専門職の人々をうまくまとめて会社の経営方針を達成していく管理職、この2つの職能集団に二極分化してるような気がします。そのどちらにも属さない人たちが、日本の企業には正社員としてまだ沢山いて、まさに会社内の人間関係を円滑にする潤滑油のような役割を果たしてきました。このような人たちが今リストラの危機にさらされているのでしょう。ある程度は止むを得ない流れなのでしょうけど、これが行き過ぎるとどうしても社内がギスギスしてしまいそうです。このような役割もある程度は必要なのでしょう。
 僕も、転職前までは、そのような潤滑油的「中間層」にいましたが、今は、専門職のはしくれとして、シャカリキさんのおっしゃるように、自分の能力について考える大切さが少しずつわかるようになりました。給与に見合う働きをしないとクビになるかもしれないというプレッシャーはありますが、組織の中での人間関係を維持していく苦労からは解放された事の方が大きなメリットと感じています。ただし、「よい働き方」への模索はまだまだ続きそうですが。

時給の分だけ・・・・

内之助さん、僕も『派遣の品格』のあの台詞覚えていますよ。あれを聞いた瞬間、入社当時の先輩と一緒になって頑張っていた事を思い出していました。確かに昔は会社のメンバーとの距離が近く、勤務時間はもちろん、飲み会、休日まで会う事がしばしばでしたよね。しかし会社を一旦離れてしまって、まさに派遣の仕事をしている現在は正社員時代を懐かしく思いながらも、自分の能力について以前より考えるようになったのはちょっと成長したかと思ったりします。正社員と派遣、このドラマは派遣社員になった者にしか台詞の意味がわからないのではないでしょうか。

精進します

ムキ子さん、
すみませんね~。僕の文章修行がまだ足りないようで。さらに精進します。

あのぉ~...

内之助さ~ん....、
読ませていただきましたが、
今ひとつ仰りたいことが、よく分からなかったのですが.....^^;

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内之助

Author:内之助
マラソンは、2008年12月のホノルル・マラソンをもって、全米全州(50州+DC)でフル・マラソンを夫婦で完走。その後、トレイルでのウルトラ・マラソンを経て、今はタイムを気にしなくても良い登山やハイキングを楽しんでいる。
音楽は、中学校1年生の時に、FMで偶然耳にしたモーツァルトの喜遊曲がきっかけでクラシックにのめり込む。
読書は、ノンフィクション中心に、同じ著者のものをまとめて読む傾向あり。小林秀雄、吉田秀和、カール・ヒルティ、スティーヴン・ジェイ・グールド、内田樹、茂木健一郎など。
仕事はサラリーマン。1995年以来ニューヨーク市郊外在住。

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